早く結果を出したい。
遅れている気がする。
置いていかれる気がする。
その焦りは、
どこから来るのでしょう。
私は22年、
金属加工の現場で働いてきました。
若い頃、
いつも焦っていました。
「早く一人前にならなければ」
「周りに追いつかなければ」
止まることが、
怖かった。
ある日、先輩に聞かれました。
「お前は、何と競争しているんだ?」
答えられませんでした。
周りでしょうか。
時間でしょうか。
理想の自分でしょうか。
何に追われているのか、
自分でも、わからなかった。
焦りは、
誰の基準でしょう。
「この年齢なら、これくらい」
「周りはもっと進んでいる」
その基準は、
本当に自分のものでしょうか。
それとも、
どこかで受け取ったものを、
自分の声だと思い込んでいるのでしょうか。
速く動いているあいだは、
不安を見なくて済みます。
結果を出せば、
一瞬だけ安心できる。
進んでいれば、
取り残されていない気がする。
でも——
その安心は、
長くは続きません。
「もっと速く」
「もっと先へ」
焦りは、
形を変えて戻ってきます。
では、
本当に怖いのは何でしょう。
遅れること?
負けること?
それとも——
置いていかれること。
誰にも必要とされなくなること。
ここにいていい、という感覚を
失うこと。
焦りの奥には、
静かな不安があります。
自分は、
このままで価値があるのか。
何も成し遂げていない自分でも、
ここにいていいのか。
速さは、
その問いから目を逸らす方法かもしれません。
問いは、
その不安と共に立つことです。
「本当にこれでいいのか」
「自分は何を求めているのか」
答えが出なくても、
逃げずに立ち続けること。
焦りを消そうとしなくてもいい。
焦っている自分を、
すぐに正さなくてもいい。
ただ、
その奥にあるものを、
一度だけ見つめてみる。
あなたは、
何に追われているのでしょう。
時間でしょうか。
他人でしょうか。
理想でしょうか。
それとも、
「ここにいていい」と
確かめ続けたい自分でしょうか。
焦りは、
消えるものではないのかもしれません。
けれど、
その根に触れたとき、
速さとは違う、
もう一つの立ち方が、
静かに見えてきます。
明日への問い
あなたが今、
抱えている焦りは
何でしょうか。
その奥で、
本当に怖れているものは
何でしょうか。
