Day 20 / 実務の扉

見積もりは、責任の表明である

見積もりを出す。

金額を決める。

その数字に、
自分の名前を載せる。

安くすれば、
通りやすくなる。

高くすれば、
嫌われるかもしれない。

その間で、
数字を探す。

でも——

見積もりは、
本当に「数字」なのでしょうか。

私は22年、金属加工の現場で働いてきました。

見積もりを作るたびに、
最後に残る揺れがあります。

材料費も、
加工時間も、
計算はできる。

けれど——

「この金額で、
自分は責任を持てるか」

「この金額で、
夜、眠れるか」

そこは、
計算できません。

安くしすぎれば、
どこかで無理が出る。

高くしすぎれば、
その価格に見合う仕事を、
本当に自分が出せるのかと揺れる。

見積書には、
書かれないものがあります。

不安。
焦り。
譲歩。

でも、
それらも数字の中に含まれている。

本当は、
この価格ではやりたくない。

でも、
通したいから、
その数字を書く。

その瞬間、
基準は静かに下がります。

見積もりは、
数字ではありません。

未来の自分に対する、
約束です。

「この金額で、
この品質を、
私は引き受ける」

その宣言です。

見積もりを出した瞬間、
逃げることはできません。

数字は、
あなたを追いかけます。

問いを持つということは、
頭の中だけで完結しません。

こうした小さな決断の中で、

「自分はどんな基準で立つのか」

それを、
繰り返し引き受けることです。

見積もりは、
あなたの基準が、
金額になったもの。

その数字に、
あなたは立ち続けられるでしょうか。

明日への問い

最後に見積もりを出したとき、
あなたは何を守ろうとしていましたか。

その金額は、
未来の自分に、
胸を張って渡せるものでしょうか。

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