Day 9 / 問いの扉

何を聞けばいいかわからない理由

AIを前にして、
言葉が出てこないことがあります。

聞きたいことは、
あるはずなのに。

何かが、
まだ言葉にならない。

そんなとき、
少し焦ります。

「自分は、使いこなせていないのではないか」
「問いを持てないのは、未熟だからではないか」

そう思ってしまう。

私は22年、金属加工の現場にいました。

鉄は、すぐには形になりません。

熱を加え、
時間をかけ、
内側からゆっくりと変わっていく。

急げば、割れる。

待つことは、
作業ではなく、
工程の一部でした。

問いも、
それに似ているのかもしれません。

問いは、すぐに芽吹かない。

静かに沈み、
表面からは見えないところで、
何かが動いている。

けれど——

もしかすると、
問いが出てこないのではなく、

出てきたら困るのかもしれません。

本当に聞きたいことを
言葉にしてしまったら、

何かを変えなければいけなくなる。

自分の曖昧さや、
避けてきたことが、
はっきりしてしまう。

それが、怖いのかもしれない。

「何を聞けばいいかわからない」

その状態は、
空白ではありません。

熟成であると同時に、
ためらいでもある。

問いは、
眠っているのではなく、

まだ触れられていない場所で、
静かに息をしているのかもしれません。

焦りは、
その呼吸を乱します。

けれど、

沈黙に座り続けることは、
逃げではありません。

それは、
近づくための時間かもしれない。

問いが目覚めたとき、
それは静かなものとは限りません。

ときに、
自分の奥を揺らします。

だからこそ、
今はまだ、言葉にならないのかもしれない。

何を聞けばいいかわからない理由は、
あなたが問いを持っていないからではありません。

問いが、
言葉になる準備をしている最中なのかもしれません。

あるいは、
触れたくない場所に
近づいているからかもしれません。

明日への問い

もし今、
言葉にならずにいるものがあるとしたら——

それは、本当に未熟さでしょうか。
それとも、
触れたくない何かでしょうか。

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